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2020年8月3日 知ってるようで知らない太陽光発電の用語集【設備編・前編】

ソーラーパネルとモジュールは同じ?パワコンの機能は?今、注目のソーラーシェアリングって?IoTとは?…

太陽光発電に登場する様々なキーワード、知っておくと投資のメリット・デメリットも理解しやすくなります。

今回は設備関連の用語をご紹介。

 

 

目次:

<ア行>

アース(接地)

アイオーティー(IoT)

アモルファスシリコン

アレイ

イーブイエー(EVA)

インゴット

インバーター

ウエハ

エムピーピーティー(MPPT)

 

<カ行>

化合物系

架台

逆流防止ダイオード

キュービクル

クランプ

結晶シリコン型

コネクタ

 

<サ行>

シグス(CIGS)

シス(CIS)

色素増感型太陽電池

ジャンクションボックス(端子ボックス)

集電盤

昇圧回路

シリコン

ストリング

ゼッチ(ZEH)

接続箱

ゼブ(ZEB)

セル(裏面電極型セル)

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)

 

アース(接地)

家電製品に漏電や感電を防止するためにアースが取り付けられているように、太陽光発電設備にもアースがあります。英語でearthが地球や大地を意味するように、太陽光発電ではアース線やアース棒を使って接地され、電気を大地に逃します。

 

アイオーティー(IoT)

近頃、あちらこちらで目にするようになった、IoT(Internet of Things =モノのインターネット)。モノをインターネットにつなぐことで、モノから情報を収集し、そのモノを使用する人にフィットするサービスを提供することを意味します。点在する小規模な太陽光発電所(太陽光発電設備)を結び、あたかも一つの発電所のように機能させるVPP(バーチャルパワープラント)構想にも、IoT技術は不可欠です。

 

アモルファスシリコン

アモルファスシリコン(amorphous silicon)とは、ケイ素を主体とする非晶質半導体のこと。結晶シリコンと比較すると構造がランダムで、不安定な物質ではありますが、製法や組成に手を加えることによって、電気的・光学的に大きく性質を変化させることが可能です。そのため、以下のような特徴が活かされながら、太陽光パネルにも利用されています。

◆エネルギーギャップが大きい(高い電圧で動作する)

◆吸光係数が大きい

◆移動度が低い

◆キャリアの寿命が短い

◆安価で大面積の薄膜を作ることができる

これまでは、紫外線による劣化や変換効率の低さといったデメリットもありましたが、技術の進歩によって改良も図られています。

 

アレイ

アレイ(array)とは、 英単語を直訳すると、配列(する)、整列(させる)などの意味。 太陽光発電設備用語としては、正しくは「太陽電池アレイ」と言い、モジュール(パネル)を複数枚つなげて架台等に設置したものを示します。大きい順に、アレイ>ストリング>モジュール>セルと、単位によって呼び名が変わります。

 

イーブイエー(EVA)

EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)とは、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂のこと。透明度が高い特質を持っているので、太陽電池セル、ガラス、バックシートの接着に用いられ、両面ガラスモジュールに多く利用されます。光透過性が高いので、ソーラーシェアリングにも適しています。

 

インゴット

高純度の単結晶シリコンの塊で、これを薄くスライスすることで、ウエハを作り、そこに電極を形成してセルを作ります。高純度のシリコンを形成する単一結晶の「単結晶シリコンインゴット」、そして、単結晶シリコンインゴットをスライスする時に出るシリコン粒を利用して作る「多結晶シリコンインゴット」があります。

 

インバーター

インバータ (Inverter)とも呼ばれます。エアコンなどの身近な家電にも使われていますが、直流を交流に、またはその逆に、周波数の異なる交流を発生させる(逆変換する)電源回路、またはその回路を持つ装置のことを言います。太陽光発電システムでは、パワーコンディショナに応用されています。

 

ウエハ

ウェハー、ウェーハ、ウエーハー、ウエハー、ウェハ、ウエハ、ウェイファ(wafer)とも綴ります。円柱状に形成されたインゴット(シリコンの塊)を薄くスライスしたもので、その名はお菓子のウェハーに由来します。太陽光発電では、「シリコンウエハ」「太陽電池ウエハ」とも呼ばれ、これに電極を形成したものが「太陽電池セル」になります。

 

エムピーピーティー(MPPT)

MPPT(Maximum Power Point Tracking)は、日本語で言うと最大電力点追従制御のこと。チャージコントローラー、あるいはパワーコンディショナのインバータなどが、太陽電池が出力する際、電力が最大出力電圧で最適な電流を取り出すため、電圧✖電流の最適動作点を自動で求めて制御するしくみのことです。

 

化合物系

太陽光パネルにシリコンではなく、何種類かの元素を文字通り化合し、原材料として用いたものを指します。代表的なものに、CIGS型太陽光パネル、CIS型太陽光パネルがあります。化合物系太陽光パネルの特徴は、安価に生産でき、影に強いことなどが挙げられます。

 

架台

太陽光パネル(モジュール)を設置・固定するための台座や枠のこと。ラックとも呼ばれます。

 

逆流防止ダイオード

太陽光パネルが日陰になった時や夜間などの発電が行われていない間に、電流が逆流するのを防ぐためのもの。電流を一方向に通す性質があるダイオードの性質を利用したものです。最近よく目にするLED(Light Emitting Diode)も、「発光ダイオード」とも呼ばれるようにダイオードの一つです。

 

キュービクル

正しくは、「キュービクル式高圧受変電設備」と言います。発電所から変電所を経由して送られてくる6,600 Vの電気を100 Vや200 Vに降圧する受電設備を収めていて、金属製の箱型をしています。

 

クランプ

太陽光パネル(モジュール)を架台に固定するための治具のこと。ちなみに、治具とは英語のjigの当て字だそうで、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具全般を指します。

 

結晶シリコン型

結晶シリコンを原材料として使用した太陽光パネルのことです。単結晶シリコンを用いた「単結晶シリコン型太陽光パネル」、多結晶シリコンを用いた「多結晶シリコン型太陽光パネル」があります。

 

コネクタ

コネクタ (Connector) とも言い、電線と電線、あるいは電線と電気器具とを接続するための部品のことです。モジュールのケーブル同士をつなげるために用いられます。

 

シグス(CIGS)

銅(Copper)、インジウム(Indium)、ガリウム(Gallium)、セレン(Selenium)の頭文字を取った略称です。これらを化合物として用いた太陽光パネル、太陽電池を指します。

 

シス(CIS)

銅(Copper)、インジウム(Indium)、セレン(Selenium)の頭文字を取った略称です。これらを化合物として用いた太陽光パネル、太陽電池を指します。

 

色素増感型太陽電池

光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池の一種。1991年、スイス連邦工科大学ローザンヌ校のマイケル・グレッツェル教授により、二酸化チタン微粒子の表面に色素を吸着することで飛躍的に起電力が増加することが発見されました。発明者である教授の名から「グレッツェル・セル」とも呼ばれます。

 

ジャンクションボックス

「端子ボックス」とも呼ばれます。電線同士を結合・分岐・中継する際に用いる、端子や端末を納める保護箱のことです。太陽電池からの配線をつなぐためのもので、混同されやすいのですが、一定電圧まで直列でつないだものを並列にするための接続箱とは異なります。

 

集電盤

箱型の物は「集電箱」とも呼ばれます。文字通り、電気を集める役割をします。アレイから送られてきた電流は「接続箱」を経由して、この集電箱(集電盤)に集められます。また、何か異常が起きた時に電流が流れてしまわないよう、回路ごとに開閉器や遮断器が設けられています。

 

昇圧回路

太陽光発電システムでは、複数のパネルを接続してストリングを構成し、 さらにこのストリングを複数の単位で接続箱やパワーコンディショナに接続します。それぞれのストリングが同じ枚数のパネルで構成されていればいいのですが、枚数が少なかったり、多かったりすると、パワーコンディショナで電力を変換する際にロスや負荷を生じさせてしまいます。そこで、各ストリングの電圧を揃えるため、この昇圧回路を用います。昇圧回路があることで、地形に合わせた自由なパネルの配置ができるのです。昇圧回路はパワコンや接続箱に搭載されている場合や、単独で昇圧ユニットという機器として設置される場合もあります。

 

シリコン

現在、最も多く流通している太陽電池は、シリコン系太陽電池です。シリコンを原材料とする太陽電池で、「単結晶シリコン太陽電池」「多結晶シリコン太陽電池」「アモルファスシリコン太陽電池」といった種類があります。

尚、シリコン(化学記号:Si)の元素はケイ素で、地球の表層を形成する元素の中では、酸素(化学記号:O2)の次に多いとされています。しかし、シリコンは単独では存在せず、酸素と結びついて、土壌や岩石、天然水、樹木、動植物などにも含まれています。

 

ストリング

モジュールを複数枚並べて直列でつないだものを指します。「ブロック」「グループ」と呼ばれることもあります。

 

ゼッチ(ZEH)

Zero Energy House(ゼロ・エネルギー・ハウス)の頭文字を取った呼称。太陽光発電システムなどを利用し、家庭のエネルギー消費量をほぼゼロに抑えることのできる、次世代型住宅のことです。一戸建てでは、一次エネルギー消費量削減率などをクリアしている基準ごとに、ZEH oriented(ゼッチ・オリエンティド)、Nearly ZEH(ニアリー・ゼッチ)、ZEH(ゼッチ)、Nearly ZEH+(ニアリー・ゼッチ・プラス)、ZEH+(ゼッチ・プラス)の5タイプがあります。マンションも、ZEH-M(ゼッチ・エム)、Nearly ZEH-M(ニアリー・ゼッチ・エム)、ZEH-M Ready(ゼッチ・エム・レディー)、ZEH-M Oriented(ゼッチ・エム・オリエンティド)という4タイプがあります。

 

接続箱

ストリングからの配線を一つにまとめるボックスのこと。配線を接続する端子の他、点検や修理の際に使うスイッチ、避雷素子、電流逆流防止のための機器や装置なども内蔵されています。50kW未満の設備では、パワーコンディショナと「接続箱」とが一体になっている場合もあります。

 

ゼブ(ZEB)

Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)のこと。太陽光発電システムなどを利用し、商業施設や公共施設、企業などの建物内で消費する一次エネルギーの収支を、限りなくゼロに近づけるのを目指したビルのことです。ZEH(ゼッチ)は住宅、ゼブ(ZEB)はビルと覚えておくといいでしょう。

 

セル

「太陽電池セル」「ソーラーセル」「PVセル」とも呼ばれ、太陽電池としての機能を持つ最小単位を指します。セルを複数枚、直並列に並べて接続し、樹脂や強化ガラス、アルミ枠などで保護・強化したものが「モジュール」。モジュールを複数枚並べて直列でつないだものが「ストリング」。ストリングをグループごとに架台に並べ、固定・設置したものが「アレイ」となります。

 

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)

※農林水産省『営農型太陽光発電の優良事例』(https://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/r_energy/attach/pdf/180515-1.pdf)より

「営農型太陽光発電」とも呼ばれます。農地の上に作物の邪魔をしない高い架台を建て、太陽光パネルを設置して行う太陽光発電です。農業と太陽光発電事業を両立させる方式で、農水省も拡大推進を後押ししています。