コラムColumn

2020年12月3日 太陽光発電の「低圧」と「高圧」ってどう違うの?

「低圧太陽光発電」「高圧太陽光発電」という言葉をよく目にするけど、「低圧」と「高圧」って、実際にはどう違うの?単に電圧が違うという訳ではないの?2020年のFIT制度改正で「低圧」の売電はどうなるの?…あなたの疑問にお答えします。

 

 目次:

太陽光発電における「低圧」「高圧」「特別高圧」とは

― 低圧連系

― 高圧連系

― 特別高圧連系

「低圧」「高圧」それぞれのメリット・デメリット

― 「低圧」のメリット・デメリット

― 「高圧」のメリット・デメリット

― 2020年4月から「低圧」は余剰買取のみに

「低圧」太陽光発電には節税できる制度も

 

太陽光発電における「低圧」「高圧」「特別高圧」とは

太陽光発電における「低圧」とは、正しくは「低圧連系」のこと、「高圧」とは「高圧連系」のこと。また、「特別高圧(特高)」と呼ばれる「特別高圧連系」もあります。太陽光発電による電力を売電するには、電力会社の電気供給設備に接続しなくてはなりません。これを「系統連系」と言い、発電設備の容量に応じて「低圧」「高圧」「特別高圧」の系統区分が分かれています。
それぞれの区分ごとの基準と特徴をご説明しましょう。

 

低圧連系

◆設備容量:50kW未満

◆電圧区分:600V以下

◆公称電圧:100V 100/200V 415V 240/415V

◆受電設備:低圧配電線 柱上変圧器で降圧して配電 100・200V

◆太陽光発電の連系契約:低圧連系 単相3線・三相3線

設備容量とは、太陽光パネルの出力容量ではなく、原則的にはパワーコンディショナの出力容量で決まります。電気事業法上では「一般用電気工作物」と種別され、電気工事士(第一種または第二種)による作業が必要ですが、消防署等への保安規程等の届け出や手続きは不要です。比較的小規模な太陽光発電所で、産業用のほか、住宅用太陽光発電システムも含まれます。

 

高圧連系

◆設備容量:50kW~2,000kW未満

◆電圧区分:600V超~7,000V以下

◆公称電圧:3,300V 6,600V

◆受電設備:高圧配電線 配電用変電所から柱上変圧器まで 6,600V

◆太陽光発電の連系契約:高圧連系 三相3線

電気事業法上では「自家用電気工作物」と種別され、経済産業省令で定める技術基準に適合するよう、キュービクルの設置等、電気工作物を安全に維持する義務が生じます。また、管轄消防署への保安規程の届け出、電気主任技術者を選任した上での届け出が必要で、作業は第一種または認定電気工事従事者(第二種は不可)が行なわなければなりません。比較的大規模な太陽光発電所で、需要家は主に小規模な工場や商業ビルなどになります。

  • キュービクルとは

    正式名称を「キュービクル高圧受電設備」という変圧器のことです。例えば、太陽光発電所で発電した6,600Vの電気を、変電所を通して送電するためには、100V、200Vに変圧しなければなりません。そのための設備です。

 

特別高圧連系

◆設備容量:2,000kW以上

◆電圧区分:7,000V超

◆公称電圧:11,000V 22,000V 33,000V 66,000V

◆受電設備:送電線 2次変電所から送電線で 33,000・66,000V

◆太陽光発電の連系契約:特別高圧連系 三相3線・中性点接地

工事計画の届け出、使用前の安全管理審査等が必要なのはもちろん、発電設備のほかに昇圧設備や接続用の鉄塔などの設置も必要となります。いわゆるメガソーラー、ソーラーパークなどと呼ばれる、産業用・公共用の大規模な太陽光発電所がこの区分になります。

 

 

「低圧」「高圧」それぞれのメリット・デメリット

初めての太陽光発電投資でいきなり2,000kWのメガソーラーを選択されるというのは、初期費用も莫大になりますから、かなりのレアケースと言えるでしょう。まずは「低圧にするか」「高圧にするか」で、悩まれる投資家の方が多いのではないでしょうか。そこで、低圧連系、高圧連系、それぞれのメリット・デメリットを考察してみました。

 

「低圧」のメリット・デメリット

《メリット》

○ 手続きが簡単

○ 工期が比較的短くて済む

○ 狭いスペースにも設置できる

○ 初期費用が比較的低コスト

《デメリット》

X 1kWあたりの設置単価が高い

X 50kW未満に適した土地は少なく坪単価が高い

X 費用対効果(収益)が比較的低い

 

「高圧」のメリット・デメリット

《メリット》

○ 発電量が多く売電収益が高い

○ 1kWあたりの設置単価が低い

○ 一括管理が可能

《デメリット》

X 届け出や電気主任技術者の選任など手続きが複雑

X 申請を含め工期が比較的長く掛かる

X 規模の大きさに伴い初期費用やランニングコストが増す(キュービクルの設置も必要)

 

2020年4月から「低圧」は余剰買取のみに

2020年4月に改正されたFIT制度(固定価格買取制度)によって、10kW以上50kW未満の「低圧」太陽光発電設備は全量買取制度の新規適用が受けられなくなりました。発電量の30%以上は自家消費しないといけないというもので、「低圧」は余剰電力買取のみになりました。

10kW以上50kW未満の太陽光発電設備が余剰電力を売電する条件として、FIT制度では「自家消費型の地域活用要件あり」とされています。「自家消費型の地域活用要件」について、2019年11月 資源エネルギー庁『地域活用要件について』には、以下のように述べられています。

自家消費型の地域活用要件については、再エネ主力電源化制度改革小委員会において、災害時に当該再エネ発電設備で発電された電気が活用されることを担保するため、災害時の活用に資する設備構造を有し、災害時に当該設備が活用される計画であることを確認する方向が取りまとめられている。

また、「地域要件」の具体的要件として、①災害時(停電時)の電気の活用、②地域マイクログリッド、③熱電併給が挙げられています。

 

「低圧」太陽光発電には節税できる制度も

10kW以上50kW未満の「低圧」で「自家消費型の地域活用要件」太陽光発電設備には、税制の優遇制度や特例措置も用意されています。例えば、『再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置(固定資産税)』は、再生可能エネルギー発電設備に対して、固定資産税を軽減する措置です。

■太陽光発電設備(固定価格買取制度の認定を受けたものを除く)を取得した事業者

※再生可能エネルギー事業者支援事業費に係る補助を受けて取得したものに限る。

■固定資産税が課せられることとなった年度から3年分の固定資産税に限り、課税標準を、以下の割合に軽減。

太陽光発電設備
(10kW以上)
1,000kW以上 3/4
(7/12~11/12)
1,000kW未満 2/3
(1/2~5/6)

 

また、「せっかく野立ての低圧太陽光発電を購入しようと資金も貯めて、投資をスタートしようと思っていたのに…」と、がっかりされている方もいらっしゃるかもしれませんが、まだあきらめる必要はありません。すでにFIT認定された10kW以上50kW未満の太陽光発電設備であれば、全量買取制度を利用した売電が可能です。けれど、「低圧」の土地付き太陽光発電は市場でも数が残り少なくなっています。物件のお問い合わせやご購入のご相談はどうぞお早めに。

 

弊社販売中の太陽光発電物件、キャンペーン、サービスについてはこちらをご覧ください。