コラムColumn

2020年12月24日 太陽光発電ビギナーにもよくわかる系統連系と逆潮流について

太陽光発電投資のビギナーにとって、まず最初に疑問に思うのが「系統連系って何?」ということではないでしょうか。なぜ、系統連系が必要か。「潮流」「逆潮流」とは?費用は?連系は誰がする?…など、初心者にもわかりやすく説明します。

目次:

系統連系しなければ売電は始まらない

  ― そもそも「系統連系」とは?

  ― 「潮流」と「逆潮流」の違いは?

系統連系には先着優先のルールがある

  ― なぜ先着優先なのか

  ― 連系開始までの流れ

系統連系の計画はお早めに

 

系統連系しなければ売電は始まらない

太陽光発電設備のことをいろいろ調べて、資金も貯めて、見積も見比べた上で業者選びも入念にして、ついに土地付き太陽光発電システムを購入。整地も終わり、パネルや周辺機器の設置も済んだ。さあ、いよいよ売電だ!…ちょっとお待ちください。電力会社との「系統連系」が完了しないと、太陽光発電による売電はスタートできません。
 

そもそも「系統連系」とは?

系統連系とは、正しくは電力系統連系と言い、系統接続とも呼ばれます。電力会社の送電線や配電線網を「系統」と言います。太陽光発電システムで発電した電力をこの系統に流すためには、工事を行って接続し、連系しなければなりません。電力会社の系統連系には、以下の3つの区分があります。

低圧連系:50kW未満の発電設備を連系

高圧連系:50kW以上2MW(2000kW)の設備を連系

特別高圧連系:2MW以上の設備を連系

 

系統連系を希望する場合、地域の電力会社(一般送配電事業者)に接続検討の申し込みをして、一般送配電事業者が技術的検討等を踏まえて連系承諾を行います。工事は電力会社が行うため、工事費負担金を支払うことで工事が実施され、系統への接続がスタートします。

工事費負担金は、地域や電力会社によって異なりますが、各電力会社共に工事種別に応じた発電出力(kW)単位での工事費単価を設定しています。ご参考までに、東京電力株式会社による管轄内の発電出力10kW以上再エネ設備の工事単価は以下となっています。

 


※東京電力株式会社 平成 28 年 2 月「再生可能エネルギー発電設備の低圧架空電線路への 連系に伴うkW工事費負担金単価の設定のお知らせ」
https://www.tepco.co.jp/renewable_energy/pdf/20160229_kouji_01.pdf)より

 

「潮流」と「逆潮流」の違いは?

家庭やオフィス、工場、店舗などで電力会社の電気を利用する、つまり、買電するにも系統連系は必要です。電力会社の発電施設から電気系統を通り、利用者へと流れる電力を「潮流(順潮流)」と呼びます。この逆の流れ、つまり、家庭などの余剰電力や全量売電用の太陽光発電所で発電した電力を売電する場合を「逆潮流」と呼びます。

太陽光発電で生み出した電力は、電力会社の電力と同じクオリティを保たなければいけません。そのための装置が、パワーコンディショナ(パワコン)、集電箱、売電メーター(電力量計、電力メーター、スマートメーター)などです。

パワーコンディショナは太陽光発電による直流の電気を交流へ変換し、電圧や周波数の調整をします。集電箱は接続箱を経由して太陽光発電による電気を集める役目を負いますが、万一、異常が起きた際は、電流を遮断する装置などが備えられています。また、売電メーターは発電した電力を計測するための機器ですが、FIT法により設置が義務付けられています。

電力の需要量と供給量は常にバランスよく保たれていなければなりません。けれど、系統連系された太陽光発電所の電力や家庭の余剰電力などが急増し、変電所の受電能力を超える電力が流れ込むと、、配電系統の電圧を適切に制御できなくなるなど、不具合を引き起こしてしまいます。

これを「バンク逆潮流」と呼び、バンクとは配電用変電所に設置された変圧器のことです。このバンクの下流側における逆潮流は上記の理由から制限され、新設のメガソーラーが系統連系できないという事態も発生し、太陽光発電の普及が進まない一因となっていましたが、現在では、電圧を適正に管理するための装置や、配電変電所に送電線事故を検出できる装置を設置することで制限は緩和されています。

 

 

系統連系には先着優先のルールがある

系統連系の申し込みは、太陽光発電を購入した業者や太陽光発電設備を設置する電気工事店が代行してくれます。ですが、もちろん、申込者(系統連系希望者)は太陽光発電システムのオーナーであるあなたですから、系統連系に関するルールや申し込みから連系開始までの流れを把握しておきましょう。

 

なぜ先着優先なのか

実は、系統連系には「先着優先」というルールが定められてます。公平性や透明性といった観点から、太陽光発電だけでなく、風力やバイオマスと言ったすべての電源共通で、接続契約申込み順に系統の接続容量を確保するというルールになっています。

もし、空き容量がない系統に「今は流れている電気が少ないから」という理由で新しい発電事業者の接続を認めてしまうと、既に容量を確保登録している事業者が電源を稼働した際に送電できなくなるという事態も起きてしまいます。これは事業予見性に影響を与え、事業として安定的に発電・売電を行うことに支障をきたしてしまうからです。
 

【送配電利用ルール(イメージ図)】


※経済産業省 資源エネルギー庁『なるほど!グリッド ~系統接続について』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/01_setsuzoku.html)より

 

連系開始までの流れ

電力会社によっては、低圧連系と高圧・特別高圧連系では、申し込みから連系までの流れが異なる場合が多いのですが、経済産業省 資源エネルギー庁では以下のようなフローを紹介しています。


※経済産業省 資源エネルギー庁『なるほど!グリッド ~系統接続について』
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/01_setsuzoku.html)より

 

事前相談は任意ですので、無料です。電力各社によって、また低圧連系と高圧・特別高圧連系によって多少内容は異なりますが、申し込み方法の留意点に関して説明を受けたり、系統連系希望地点付近の系統状況について、容量面から評価した連系制限の有無などを知らせてもらえるサービスなどがあります。

接続検討申込みからは有料で、電力会社(一般送配電事業者)が、申込み内容に応じた電力系統への影響や送配電設備の新設・増強工事の必要性等について技術検討したのち、連系可否や工事概要などを回答します。

その回答結果を踏まえて、改めて契約申込みを行い、一般送配電事業者が工事設計の詳細等を検討のうえ、連系承諾を行い、工事費負担金契約を締結します。

 

 

系統連系の計画はお早めに

系統連系には、契約から工事まで4カ月以上、時には半年ほど要することもあるとされています(高圧・特別高圧の場合は最短で9カ月)ので、早めの準備が必要です。事業計画書の作成も行う必要があり、系統連系契約の申請手続きは非常に複雑ですが、太陽光発電の販売業者や施工業者が代行してくれますので、まずは経験や実績が豊富で、信頼できる業者選びをすることが肝心です。

もちろん、弊社でも系統連系契約の代行業務は行っておりますし、代行料金は販売価格に含まれております。ご質問やご相談は無料ですので、系統連系に関することなども、どうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせフォーム